大血管転換術が胸部大動脈の血行力学におよぼす影響の数値解析

摘要

大血管転換術後の胸部大動脈基部は大きな曲がりや振れが生じる場合が多く，その特異な幾何学形状は複雑な内部流れを形成し，血管疾患の発症を招く恐れがある．本研究では，術後大動脈の幾何学形状を曲率と振率で定量的に評価し，それらが内部流れに及ぼす影響を数値解析により調べた．その結果，術後大動脈は曲率と振率の増加により，近位弓部において右回りの強い二次流れがみられ，壁面せh断応力の最大値が増加した．