エンジン要素技術講座I－ピストンリング

摘要

日本の自動車保有台数が1000万台に達したのは昭和42年(1967)，東名高速道路が全線開通したのは昭和44年(1969)であった。 現在日本の自動車保有台数はこの約7倍となり，エンジンの高性能化と共に，信頼性，寿命，快適性，排気ガスのクリーン皮，燃費など，エンジンのあらゆる特性が飛躍的に向上している。 これに対応してピストンリング（以下リングと記す）もまた大きな進歩を遂げてきた。 リングは通常ドライバの目に触れることはないが，エンジン性能，ブローバイガス量，オイル消費量，燃料消費量，排気ガス，リングやボアの摩耗量などに影響を与える。 特に最近，ガソリンエンジン低燃費化のためのフリクション低減，ディーゼルエンジンでの筒内圧アップ対応，グールドEGR対応など，技術的な対応も広がりと開発スピードが必要となっている。 本稿では，リングの基本的事項を概観した後，最近の課題と技術的状況を紹介する。