機械学習を用いた環境調和型熱材料の出力向上

摘要

惑星探査機の自立電源として利用されている、熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換する熱電変換技術は、メンテナンスフリーで長期利用が可能であるという優れた特徴を有している。民生部門に関しては、ろうそくラジオやコードレスフアンヒーター等が試作·市販化され（写真1）、近年は、モノ同士がインターネットでつながる社会（IoT社会）におけるセンサ用自立電源として応用が期待されている。熱電変換材料の研究対象は、無機化合物から有機化合物、それらのハイブリッド化合物まで多岐にわたっている。材料の基礎研究においては、出力性能の向上のための様々な材料設計指針（バンドエンジニアリングやフォノンエンジニアリング等）に基づいて、国内外問わず活発に研究が行われており、今日までに多くの候補材料が発見·報告されている。発電モジュール化研究においては、材料の出力性能を最大限に引き出すための金属中間膜の選定や、高信頼性·高耐久性に資する接合技術の確立に向けて、民間企業や国の研究所などを中心に精力的に進められている。