大域-局所の結合のバランスが神経活動の複雑性に与える影響－自閉スペクトラム症における特異な神経活動の構成論的考察

摘要

本研究では，自閉スペクトラム症（ASD）で観察される特異な神経活動の原因を，その局所的に過剰な神経結合に着目して，構成論的に説明することを目的とする．スモールワールドネットワークのパラメータ設定により，神経結合における大域-局所のバランスを段階的に変化させられるモデルを構成し，そのモデルにおけるスパイクニューロンの活動を解析する．実験の結果，局所過剰結合を持つモデルでは，神経活動の高周波成分の強度が上昇することにより，その活動の複雑性が低下するということがわかった．そして，この結果が実際のASDの脳計測の知見と対応することを議論する．