生体信号の非線形解析にもとづくローパスフィルタ設計に関する研究－局所的脳血流と重心動揺の非線形解析

摘要

一般的に、生体信号計測には体動や呼吸といったノイズに対して、低域通過フィルタを用いたノイズ処理が行なわれている。しかし、カットオフ周波数の設定によって、本来、生体信号が持っている性質が変わってみえる問題がある。そこで本研究では、健常者10名に対して、前頭前野の脳血流動態と重心動揺を記述する数理モデルの非線形性に着目して実験を行なった。計測された生体信号データに対して、脳血流動態には0.1-2 Hz、重心動揺には0.1-20 Hzの1つの周波数をカットオフ周波数とするローパスフィルタで平滑化し、非線形性を確かめた。脳血流動態では、0.2Hz以下、重心動揺では0.5Hz以下のとき生体信号に非線形性がみられ、各生体データが線形でない確率分方定式とみなすことができた。