1930年代のドイツにおける振動分光学と分子構造研究

摘要

分子科学は1960年前後に登場した比較的新しい学術語であり，近年では化学とほぼ同義に用いられることもあるが，日本では1976年に分子科学研究所が設立され，2006年の分子科学会の発足を経て，明らかに化学とはイコールではない独自の学問分野として発展しており，この過程の解明は日本における20世紀化学（科学）史の独自性を考察するうえで興味深い課題であると考えている．