これからの太陽熱利用～建築事例とシステムデザイン：普及に向けて－わが国の現状と諸外国の普及策

摘要

わが国の太陽熱利用について振り返って見ると，第2次大戦後の物資が窮乏したおりに太陽熱温水器の原型ともいえる組置き形太陽熱温水器が登場し，1973年のいわゆる第1次オイルショック後に自然循環型太陽熱温水器と強制循環型のソーラーシステムが商品化された．市場現模がピークを迎えたのは1980年代前半のことで，以降，四半世紀にわたり需要は漸減し続けている．他方，欧米とりわけドイツを中心としたヨーロッパでは，1997年12月の京都議定書策定をきっかけに，二酸化炭素排出削減に向けて自然エネルギー利用機運が高まり，2000年以降はさまざまな普及政策が制度化され，市場規模の拡大が続いている．本稿では，2000年以降の太陽熱利用の動向についてわが国とヨーロッパを比較しながら，再度の普及へ向けての提案を試みた．