自動車のトライボロジー：自動車エンジン部品における最近の穴加工の技術動向

摘要

エンジン部品の中で、動力を伝達する軸であるクランクシャフトには、ピン部·ジャーナル部の抽穴とピンークランクアームージャーナル間の斜め油穴が潤滑油を供給するために施されている。 この斜め油穴は、アスペクト比L/D（L：加工深さ、D：切刃径）＝15～20と大きく、おおむね切刃径D：Φ5～7mm、加工深さL：100～150mmの寸法であり、これまではガンドリルやハイスドリルで、専用機により加工されていた。 しかし、ここ数年の間に、自動車（部品）メーカーは、加工能率を改善し生産性を高めるために、また、車種変更に伴う加工ラインの立上げを最小限の投資でかつ短期間で行うために、マシニングセンタによるライン構築が導入され、超硬ソリッドドリルへの切替えが図られている。また、環境問題への対応についても、PRTR法制定以降は取組みが加速し、少量のクーラントで切削するMQL (Minimal Quantity Lubrication)加工が、このクランクシャフトの加工において超硬ソリッドドリルを用いて試みられたり、実際に採用されたりするようになった。