火花放電による水素の最小着火エネルギー－湿度と放電パルス幅の影響

摘要

燃料電池自動車は排出ガスがクリーンでエネルギー効率がよく，環境·エネルギーの面で優れた次世代自動車である．燃料電池自動車は水素を燃料とするため，実用化には水素ステーションの普及が必要である．このため水素の安全対策が必須となるが，まだ十分に検討されていないのが現状である．特に水素は一般の可燃性ガスよりも最小着火エネルギーが1桁小さく，空気中で0.02mJ以下である．たがって水素は静電気放電に対して特に着火しやすく，静電気に対する水素の安全性の評価が急務となっている．可燃性ガスの静電気危険性の評価では，最小着火エネルギーが重要な指標である．最小着火エネルギーは，一般に図1(a)のような容量性火花放電を用いて測定する．コンデンサCを電圧Vで充電し，これを火花放電させてガスの着火·不着火を調べ，着火に要する最小の放電エネルギーCV{sup}2/2を求める手法である．