撮像素子の高性能化：次世代小型超高感度HARP撮像デバイス

摘要

本稿では，次世代小型超高感度撮像デバイスを目指した取り組みとして，電圧を印加するだけで電子を放射する冷陰極マトリックスアレイに，アモルファスセレンでのアバランシェ増倍現象を利用した超高感度なHARP光電変換膜を近接させて対向配置七た冷陰極HARP撮像板の開発概要について述べた。 現在，撮像板の開発は，1インチVGA撮像板の試作に成功し，実用化に向けた多画素化に見通しを得た段階である。 本稿で述べた以外にも，アクティブ駆動型HEED冷陰極アレイを適用した1インチVGA撮像板の開発や，さらなる小型·多画素化を目指した要素技術開発などに取り組hでいる。 冷陰極HARP撮像板では，通常のCCDなどに比べて100倍以上の超高感度を得ることができるため，将来，放送（夜間に発生した地震などの災害や事件，事故の緊急報道，科学番組制作での夜行性動物の撮影など）をはじめとして，医療（高感度X線診断システムなど），自然科学（天体観測，深海探査など），セキュリティ（港湾，河川，空港の夜間監視，ホームセキュリティなど）など，多くの分野での活躍が期待できる。