コールドスプレー銅皮膜の密着力および粒子付着挙動に及ぼすスプレー角度の影響

摘要

本研究では，CS法による皮膜密着性の向上を目的として，この凝子基材間で生じるせh断の面積を，接触面の周辺部のみならず接触面全体に拡大することを考えた．その手段として，ノズル中心軸と基材表面とのなす角として定義されるスプレー角度を鋭角化して実験を行った．CS法では，スプレー角度を鋭角とすると衝突速度の垂直方向成分が低下して粒子の付着率が低下するなど否定的な報告がなされており，一般的に直角で施工されている．しかし，スプレー角度を鋭角にすることで，粒子が基材に対して斜めに衝突し，基材表面に対し水平方向の運動エネルギーを持って衝突するため，粒子が基材上を滑動して粒子と基材の接触面全体で大きなせh断が生じることが期待できる（Fig.1（b））．これによって，特にこれまで成膜が困難であった鏡面の軟鋼基材への成膜が可能になると考えた．本報では，コールドスプレーにおける軟鋼基材上の銅皮膜の密着力に及ぼす，スプレー角度鋭角化による粒子衝突時の基材との滑動付与の影響を検討した．また，基材の表面粗さの影響も検討した．さらに，軟らかいアルミ合金基材を用い基材硬さが皮膜密着性に及ぼす影響も検証した．