力覚表示システム構築を前提とした粘弾性体のナイフによる切離モーメントの表現

摘要

仮想現実の実現手段として力覚を表現する種々の力覚表示システムの研究が行なわれている．この一つとして切離デバイネを用いて形状変化を伴った仮想物体の加工を行なう研究が進められており，その一方で物性を考慮した物体の表現方法として有限要素法による方法や，バネ卓デルを応用した方法が提案されている．しかし，これらの多くは必ずしも物体の存在感や操作感が十分に表現されていない．また破壊の瞬間における力の作用も物理的法則を反映した形で十分には記述されていない．その理由として，物体の破壊の機序が明確でないことが挙げられる．すなわち，非破壊から破壊への移行の条件が明確ではないので，物体に対する操作が限定されるからである．