中国ばなしあれこれ⑧―農村の権力構造－

摘要

中国は、ご承知のように実質的には中国共産党による一党独裁の国家です。 このため、各組織には必ずと言って良いほど共産党の組織が有り、そして、この共産党の組織が実質的にはその組織の権力を握っているのが実態です。 つまり、表の看板の怒織のーツプより、裏の組織である共産党の組織のトップの力が偉いということです。このような状況は、中央の国家機関は言うに及ばず、地力の行政組織の末端、即ち、村段階にまで及hでいます。 この連載の第一回で、中国の農村社会構造は、「①農家-③村民小組-③村民委員会-④郷政府または鎮政府」という階層になっていることを紹介しました。 この階層の中で農村組織といえば、②村民小組、③村民委員会、④郷政府（鎮政府）ですが、現在の農村で実際に農業、農村、農民政策を推進しているの、は村段階の組織である③村民委員会です。 したがって、農村の権力構造を考える場合、村段階の村民委員会の状況を考えるのが最も実態に則したアプローチになります。 さて、現在の中国の農村の村段階には、三つの組織が併存しています。①村民委員会、②共産党の村党支部、③村合作経済組織の三つです（図参照）。この三つの組織のうち、③村合作経済組織は経済行為が主体の組織ですから、村の権力構造を考える場合は除外した方が分かりやすくなります。そこで残った②村民委員会と③共産党の村党支部の二つの関係を考えれば良いことになります。 先ずこれら二つの組織の性格について説明しましょう。