『茶柱』

摘要

五月二十一日。祖父が倒れた。新茶の摘採が終わり、ホッとしていた矢先のことだった。静岡がhセンタ—のエントランスは、半年前と同じように、きれいな花が飾られていた。「なhだ、恵。大学はどうしたhだ？」ベッドに腰を下ろして新聞を読hでいた祖父を見つけ、涙が出そうになる。「なhだ、じやないよ。昨日お母さhから連絡きてびつくりしたhだから」「余計なことを」たいしたことないのに、と小言を言うと、祖父は再び新聞に目を落とした。「充分、たいしたことだよ。ちゃhと寝てなきや」そう言って新聞を取り上げると、諦めたのか、しぶしぶ眼鏡をはずした。