タバココナジラミのバイオタイプと媒介ウイルスをめぐる諸問題

摘要

タバココナジラミBemisia tabaci（Gennadius）（第1図）は，吸汁によって作物の生育を遅延させ，排泄物（甘露）によるすす病を発生させるはか，トマト黄化葉巻病の病原ウイルス（TYLCV）を永続的に媒介することによってトマト生産に重大な被害を引き起こす．タバココナジラミはウンカ，ヨコバイ，アブラムシ，カイガラムシなどと同様に半廼目の同廻亜目（Homoptera）に属し，蛹の発育段階を持たない不完全変態昆虫である．成虫，幼虫とも。 針で植物の師管液から栄養を摂取し，甘露を排泄する．コナジラミ類の生物学的特徴として，幼虫期に固着生活を送ることが挙げられる．卵から網化した1齢幼虫は歩行能力を持っが，2齢になると脚を持たない固着生活者となる．幼虫期は4齢まであり，4齢幼虫の終期（老熟幼虫期）には成虫の眼点が外から透けて見えるようになるため，老熟幼虫を「蛹」と呼ぶこともあるが，正しい名称ではない．