鉄道車両に適用されるパワーデバイスの進展

摘要

鉄道車両におけるパワーエレクトロニクス技術を応用した製品として代表的なものに，車両推進制御装置(VVVF)(Variable Voltage Variable Frequency)インバータ装置，主変換装置）及び車両用補助電源装置（SIV(Static Inverter)装置）と呼ばれるものがある。 これらの高機能化や高性能化の変遷は，パワーエレクトロニクス技術分野の中でも特にパワーデバイスの進化と緊密な関係がある。 パワーデバイスは，この10年間でGTO(Gate Turn-Off)サイリスタから一時のパワートランジスタを経てIGBT (Insulated Gate BipolarTransistor)へ著しい進展を見せてきた。 近年では，IGBTについてGTOと同等以上の高耐圧化開発に伴ってHVIGBT(High Voltage IGBT)というカテゴリーが認知された。 最近の市場の要求としては，公共輸送としてのより厳しい安全性·安定輸送を目指すため，車両に搭載する機器への高い信頼性確保がある。 さらに，環境負荷低減への配慮を理由に，小型軽量化や低損失化要求についてもより一層厳しくなる傾向にある。 これまで三菱電機では，これらの要求にこたえるために，GTOサイリスタからIGBTへの移行に伴う技術開発に積極的に取り組hできた。 その結果として，HVIPM (High Voltage Intelligent PowerModule)や，その応用技術としての低インダクタンス配線を駆使した主回路構造の適用実績がある。 本稿では，GTOサイリスタがIGBTに取って代わり現在に至る鉄道車両用パワーデバイスの開発動向を振り返る。