公共分野における監視システム

摘要

我が国において，個人の生命·財産を脅威から守るいわゆるセキュリティ意識は，ここ数年高まりを見せている。 この背景には最近の凶悪犯罪の増加による防犯意識の向上が挙げられるが，公共分野においてセキュリティを考える場合，防犯と同等以上に防災も考える必要がある。つまり，社会の中では個人に対する脅威は災害·犯罪共に同じ重さを持っている。公共分野においてセキュリティを考慮すべき対象としては，不特定多数の人が利用するところ，外国人が出入国するところ，災害·事故·事件などの事案発生時に社会的影響が大きいところなどが挙げられる。具体的には，河川·道路·空港·港湾·公共施設などである。 これら公共分野でのセキュリティを構築する場合は映像による監視システム主体になるが，最近の映像伝送技術の進展とともに映像監視ポイントの拡大による監視業務の高度化，映像活用の高度化により，監視業務の効率化，さらには制御分野への映像利用も進hでいる。 また，映像利用範囲の拡大に伴う監視業務負荷の増大に対応するため，映像表示技術の発展，映像検索技術の高度化への期待も高まっている。 また，空港·港湾などに代表される公共大規模施設における人為的犯罪に対応する手段，すなわち防犯システムの構築においては人的対応と強調したシステム構築が必要で，システムに対する要求，システムの運用，システム構築の各フェーズにおいて機械と人の機能バランスを考慮する必要がある。