北陸新幹線列車無線システムのデジタル化

摘要

デジタル方式に切り換えることで，データ通信の更なる利用や音声通信の機能向上によって，情報伝達における様々な課題を解決した。音声通信では，チャネル数の増強によって指令員から乗務員への放送通知（一斉情報機能）が可能となり，指令員の負荷軽減につながった。また，緊急時にチャネルの用途を業務電話専用に切り換える方式を採用することで，アナログ方式にない新たなサービスの提供を可能とした。データ通信では，パケット通信対応のシステムの構築と安定した無線回線品質の確保によって，列車運行や車内サービスの向上につながる車内情報提供システム及び草両技術支援システムを充実させ，無線による列車制御も可能とした。北陸新幹線を走行する車両は，高崎を通過するたびにアナログ方式とデジタル方式の切り換えを実施していたが，すべてデジタル運用になったことで，切り換えが不要となり音声通信やデータ通信がスムーズに行え，特に大容量のデータ伝送が実現できたことで，車両の運行情報や乗客への配信情報量を増やすことができ，より安全な遅行と品質の高い乗客サービスを可能とした。