稗原ダム建設工事について一暑中コンクリート打設の湿度対策ー

摘要

稗原ダムは，島根県が県営かhがい排水事業稗原地区の基幹施設として建設中の農業用かhがいダムである。 ダムの型式は直線重力式コンクリートダムでありマスコンクリート構造物であるため，施工時の湿度管理を適切に行わなければ，水和熱に起因する湿度応力によりひび割れが生じることとなる。上下流に通じるひび割れは，漏水の原因となる。また，不規則なひび割れはダムの構造上，安全性に影響を与えることとなり，ダムコンクリートの耐久性を損なう原因にもなりかねない。 暑中時には，気温の上昇とともに打設時のコンクリート温度が上昇することから，湿度応力の増加を抑制するため，及びワーカビリティーの低下を防止するための湿度対策が必要となる。 コンクリート標準示力書［ダムコンクリート編］1）ではコンクリート湿度が25°Cを超えるおそれがある場合，材料の取扱い，練混ぜ，打込み，および養生について，適切な措置を講じることが必要とされて’いる。 稗原ダムでは過去の気象調査より，暑中時には気温の上昇に伴いコンクリート温度が25°Cを越えることが想定された。 そこで暑中コンクリー卜対策として，早朝時の打設，練混り水の冷却，セメント及び骨材の冷却（プレクーリング）等を併用することにより，打設温度の抑制を図ることとした。これらの暑中コンクリートの市設時の温度対策について，具体的内容とその効果について報告する。