コラーゲンべプチド摂取後のヒト血中からの環状Pro-Hvpの検出

摘要

ペプチドは，タンパク質分解物として様々な食品に 含まれており.味噌やチーズの様な熟成後の食品中に 増加し，苦みやうま味などの味に寄与する.近年では. 血圧上昇抑制や血中中性脂肪上昇抑制などの特定保健 用食品の関与成分として.機能性も認められている. 一般的にペプチドといえば.アミノ酸がペプチド結合によって連なって両端にN末端とC末端部分保持し たものを指すことが多い（図1a).ペプチドを含む食 品の摂取後.ヒト血液中でぺプチドが増加することが 報告されている.我々はこれまでに，コラーゲンぺプ チド摂取後にヒドロキシプロリン（Hyp)を含む数種 類のペプチドを，エラスチンペプチド摂取後にはアミ ノ酸のプロリン（Pro)とグリシン（Gly)が結合した (Pro-Gly)をヒト血漿中で〃Mと高濃度で検出してい る.コラーゲンやエラスチンペプチド摂取によって肌 や関節の#1 態を改善することが報告されており1—4),血 中に吸収されるこれら食事由来べプチドがその作用機 序において有効成分として働いているのではないかと 考えられている.一方で，食品中のペプチドには，ぺプチドのN末端とC末端の結合によって環状構造を形 成する環状ペプチドも存在する（図1b).環状べプチ ドは，チーズ，ビール，キムチ，コーヒー，さらに調 理後の牛肉から検出されており，食品中の苦味に影響 を及ぼすことが報告されている.食品加工過程以外で は，N末端とC末端を有する「鎖状」ペプチドをアミ ノ酸から人工的に合成する過程で環状べプチドが生じ ることも報告されている.これまでに，食品摂取後に 環状ペプチドのヒト血中吸収の報告例はない.環状べ プチドカ《生理活性を有する可能性について報告されて いるため，食事からの環状ペプチド血中吸収を明らか にすることは，実際にペプチドの生理機能を明らかに していく上では重要な課題である.では.これま でのヒト血中食事由来べプチド分析法から，食事由来 環状べプチドの検出に至った手法について紹介する.