食品関連産業の海外展開について -「食品関連産業の将来展望研究会」報告書より-

摘要

我が国の食品関連産業は、国民への食料の安定供給や国 産農産物の最大の需要先としての重要な社会的役割を果 たしています。しかし、国内人口の減少、高齢化の進展に 伴い、長期的に見れば国内の市場規模の縮小傾向は明らか です。また、厳しい過当競争等により我が国の食品関連産業の収益性が低い構造となっており、国内需要に依存したままでは、今後の成長どころか、 現状を維持することさえ難しい状況となっています。このような状況を打破し、今後も我が国の食品関連産業が持続的な成長を達成する鍵の ひとつとなるのは、海外、特に近年の経済成長著しく、我が国と地理的、文化的にも近いアジア市場への積極的な事業展開です。今年3月30日に閣議決定された新たな食料、農 業、農村基本計画においても、「海外展開による事業基盤の強化」として、「アジア等にお ける日本の食文化の発信の強化と連携した形で食品製造、流通業の現地生産、販売の取 組や外食産業の進出を促進することにより、その事業基盤を強化し、我が国の食料の安定 供給の確保等を図る。」と記載され、その重要性が強調されています。