耕畜連携の強化に向けた家畜排せつ物の循環利用のための研究成果紹介

摘要

わが国の畜産は、飼料を海外からの輸入に依存している。 平成18年度の概算では、純国内産飼料自給率は25％であり、うち粗飼料自給率は77％、濃厚飼料自給率は10％となっている（農林水産省畜産振興課「飼料をめぐる情勢」平成19年12月）。 一方、家畜の排せつ物は海外に持ち出すことができないため、海外からの養分が日本国内に一方的に流れ込むことになっている。 また、畜産経営の大規模化が進むなかで、家畜ふh尿が畜産農家を中心に多量に発生し、一部が野積みや素ぼり穴に貯留されることにより、悪臭問題や水質汚濁を生じるおそれがあることから、畜産環境問題の解決と畜産業の健全な発展を目的として「家畜排せつ物法」が平成11年に制定された。 現在までには、「家畜排せつ物法」に基づく管理基準は、ほぼすべての適用対象農家において遵守される状況になっているが、生産された堆肥の利用促進が新たな課題となっている。