日本の枯死針葉樹材の分解度による材密度の推定

摘要

我が国全体の人工林の枯死木量の推定精度を向上させるため、針葉樹の間伐放置材.を利用して 分解度別の材密度を測定した。材密度は樹種（スギ，ヒノキ，カラマツ，ァカェゾマツ，トドマツ）や形態（倒木，根株，立枯木）、地域（15道府県）および直径クラス（5-10cm, 10-15cm, 15-20cm, 20-40cm)に分けて比較した。分解度1から分解度4までの樹種別の平均材密度（gem~(-3))は、スギでは、 順に0.33、 0.27、 0.19、 0.18、ヒノキは、0.38、 0.3 K 0.22, 0.17、カラマツは、0.37、 0.32、 0.23、 0.13であった。材密度は分解度1-2の分解初期には、樹種ゃ直径クラス、形態で有意な差があつ たが、分解度3-4になるとばらつきが大きくなり有意差はなかった。また、樹種ゃ分解度におけ る材密度の地域間差は、分解初期にはみられず、分解度2以上は一部で有意な場合もあったが、全 体の傾向としては明瞭でなかった。これらの結果から、枯死木現存量の推定精度を向上させるため には、分解度1と2については樹種、直径クラス、形態に分けて材密度を適用することが望ましい。 また、分解度3以上では、林分間のばらつきが大きくなるため、地域間差を生じる原因の解明が今 後の研究として期待される。