低コス卜再造林に向けた 苗木への期待と課題

摘要

曰本の国土の7割を森林が占める中，まずは，どこで低コスト再造林を行うべきか 考えてみょう。振り返ると「旧森林、林業基本法」（1964-2001年）には.循環型 林業による林業振興そのものが日本の森林を健全に維持することに繋がる，という予 定調和的な考え方が根底にあった。戦後の復興による木材の不足や円安の為替状況も 後押しし，年間10万haにもなる拡大造林が行われ，寒冷多雪な山岳域にも針葉樹 造林地が出現した。2001年以降の「新森林、林業基本法」では予定調和的な考え方 への反省もあり，生態系サービス発揮のための多様な森林整備を目指した大転換が行 われた。また，地球温暖化対策として，「炭素吸収源」としての森林の機能にも焦点が 当てられるようになった。2016年の「森林、林業基本計画」では，旧森林、林業基 本法のもとで植栽された人工林資源の充実に伴い，国産材による木材自給率5096を 目指す林業振興が謳われ，効率的な主伐と再造林に関する技術開発が求められている。