沖繩のソバk培地に分布する国頭マージ，島尻マージおよび黒ポク土でのソバの生育および収量の比較

摘要

近年，沖緙島北部と宮古島でソバ栽培が始まっている.両地域にはそれぞれ酸性の国頭マージ（赤色土）と概 ね中性の島尻マージ（暗赤色土）が分布している.これら土壌は日本のソバ栽培地の多くに分布する黒ポク土とは土 壌有機物量やリンの存在形態など，土壌の理化学性に大きな違いがある.本試験では，国頭マージと島尻マージおよ び黒ポク土を用いてソバを栽培し，生育量，収量および各種養分吸収量を比較した.ソバの生育量と収量は黒ポク土 に比べて島尻マージより国頭マージで低下し.側枝花房数の減少と結実率の低下が主因と考えられた.窒素含有率は 茎と子実において国頭マージで低かった.リン含有率は子実では国頭マージが黒ポク土よりわずかに低かったが，茎 では有意に高かった.カリウム含有率は全ての器官で黒ポク土が著しく高く，国頭マージ，島尻マージの順に有意に 低下していた.施肥を行っていないカルシウム含有率は子実では土壌間に顕著な違いがなかったが，茎では土壌の交 換性カルシゥム含有率を反映して国頭マージは黒ポク土と同程度であり，島尻マージでは高かった.マグネシゥム含 有率は全ての器官とも黒ポク土で最も低く，島尻マージ.国頭マージの順に高くなつた.子実重，茎重.側枝花房数は土壌の窒素含有率とA1型リン含有率と高い正の相関が認められたが，Fe型リンゃ可給態リンとは有意な相関がな く，施肥リンがFe型で固定される沖禅の土壌とは異なり，A1型で固定される黒ポク土ではリン吸収が高まることで 生育量と収量が増加したと考えられる.