アカヒゲホソミドリカスミカメ成虫の飼育条件下での産卵能力と生存日数

摘要

アカヒゲホソミドリカスミカメの成虫は，同種他個体の産下した卵の中味を吸汁することが確かめられた．これは食植性である本種が，雑食性の側面を持っていることを示唆するものである．アカヒゲホソミドリカスミカメ成虫の産卵能力と生存日数を，コムギ苗を餌とし，30°C，25°C，20°Cの3段階の温度条件下で調査した．平均産卵前期間は，30°Cで3．0日，25°Cで3．8日，20°Cで5．6日となり，飼育温度が低いほど長くなった．雌当たりの平均総産卵数は，30°Cで127．3卵，25°Cで107．7卵，20°C で107．6卵となり，飼育温度間で総産卵数に有意な差は認められなかった．飼育温度が高いほど産卵前期間終了後，短い日数で沢山産卵する傾向が見られた．平均生存日数は温度が低いほど長くなり，雌では30°Cの16．5日に比べ20°Cでは22．5日と，雄では30°Cの20．8日，25°Cの21．8日に比べ20°Cでは30．1日と有意に長くなった．また，雌より雄のほうが生存日数が長くなる傾向が認められた．