豚の脚弱症に対する非注射的ナノ化鎮痛剤の開発

摘要

豚の脚弱症は，骨軟骨症および骨関節症が原因であり，修復の遅い関節軟骨に病変 を作ることから，治療が難しいとされている。 関節軟骨の病変進行の防止には関節の運動に よる関節液の増量が関与していると考えられ, 鎮痛剤による対症療法が疼痛管理と病態進行 の改善に有用である可能性がある。現在家畜 用に市販されている鎮痛剤は，そのほとhど が筋肉注射用であるが，脚弱症をはじめとす る関節炎の治療は長期にわたることから，連 日の注射による豚のストレスや，鎮痛剤の種 類によっては連日投与により胃潰瘍等の副作 用がある薬剤もある。そこで，ヒトの医療で用いられるジクロフェナク（DCLF)を用いた非 注射的手法のうち坐剤での鎮痛剤開発を試み た。さらに，直腸での吸収を高めるために薬剤 をナノ化処理して，豚血中への薬剤の移行速 度を検討した。また，脚弱症豚に坐剤を投与し、 臨床症状から薬剤効果を検討した。