膣内クリーム（プロジヱステロン混入クリーム）スポンジの留置期間が未経産豚の排卵同期化， 採胚ぉよび繁殖成績に及ぼす影響

摘要

豚において衛生的に種豚を導入する技術の一つ として，胚移植がある。効率のよい胚移植のため には，供胚豚および受胚豚の発情同期化技術が重 要である。発情同期化技術の一つとして，未成熟豚では，妊馬血清性性腺刺激ホルモン（eCG)と 人絨毛性性腺刺激ホルモンを（hCG)の併用投与 (Baker, 1979)による発情同期化法が胚採取を行 う際に最も一般的に用いられている。一方，性成 熟豚の発情同期化方法には初期妊娠豚にプロスタ グランジンF_(2a) (PGF_(2a)を投与し流産を誘起させ る方法（人工流産法：Guthrieら,1978 ； Love ら，1993),経口合成プロジェステロン（P)製剤 (altrenogest等）を一定期間摂取させる方法 (Martinat-Botteり，1985 ； Whiteら，1988),eCGおよびhCGの低単位合剤であるPG600を 投与する方法（Batesら，1991；Sommerら， 2007)およびPGF&製剤の反復投与による方法 (Estillら，1993 ；岩村ら，2001)等が知られてい る。しかし経口合成プロジュステロンを用いた方 法は，薬剤が現在日本では購入できないという問題があり，またPG600を用いた方法は，離乳豚に おいては離乳時にPG600を投与することで発情 誘起に有効であるが，発情を繰り返す豚ではPG 600投与に先立ち黄体期の豚にPGF&製剤を投与 する必妻があることから同期化可能な期間が短い こと，さらにPGF_(2a)製剤の反復投与による方法は 発情周期を約6.5日まで短縮することが可能で あつたが同期化可能な期間が限られているという 問題がある。このような背景から，胚移植を行う 際には人工流産法が一般的に用いられてきた。