飼料の機能,栄養特性を活用した肥育豚及び 繁殖豚の夏季の生産性向上に関する研究

摘要

温暖地の養豚経営において，夏季の暑熱ストレス は豚の生産性を低下させる重要な問題である。農林 水産省の畜産物流通統計から試算すると，北海道-東北地域では7月と8月のと畜頭数は12月と1月 と比較して5%の減少であるのに対し，九州,沖緙 地域では7月と8月のと畜頭数は12月と1月より ほ％と大きく減少する。これは，暑熱ストレスに よって夏から秋にかけての母豚の受胎が影響を受 け，翌夏に肥育後期を迎える子豚の生産が減少した ことと，暑熱ストレスによつて肥育後期豚の成長が 遅延したことの両者によるところが大きいと考えら れる。夏季の豚肉の出荷量の減少は豚肉相場の不安 定ィ匕を招く要因ともなり，年間を通した安定した豚 肉生産と国内養豚の経営強化のためには，暑熱対策 技術の確立が重要な課題である。また現在は，主に 関東以西の温暖な地域において暑熱ストレスの影響 が強く見られている力，地球温暖化に伴つて影響を 受ける地域は拡大するものと考えられている。演者 は主に農研機構九州沖耩農業研究センターにおいて 養豚の暑熱の問題に取り組み，肥育豚と繁殖豚の両 者において暑熱ストレスの影響評価や夏季の生産性 向上に向けた検討を行ってきた。