哺乳回数の違いが黒毛和種哺乳牛の自動哺乳システム利用性に及ぼす影響

摘要

哺乳ロボットの1回当たりの哺乳量を少量で摂取できるように設定することにより哺乳機会を多くし，哺乳回数の増加が黒毛和種哺乳牛の哺乳ロボットの利用性や発育に及ぼす影響を調査した．哺乳ロボットは1台につき最高36頭に哺乳した．導入1日目の哺乳ロポットへの馴致回数は，哺乳回数が多かった多回哺乳区が哺乳回数の少なかった少回哺乳区にくらべて有意に多かった（P＜0.05）．2日田以降は多回哺乳区の馴致回数の減少が大きく，3日目には両区に差はみられなかった．哺乳期間中の哺乳回数は多回哺乳区が少即甫乳区にくらべてすべて有意に多かった（Pく0.05）．多回哺乳区では，哺乳報酬のないドリンクステーションへの訪問のみの回数は，導入1から3日自および7日目が少回哺乳区にくらべ有意に多かった（Pく0.05）．哺乳量が減少した哺乳後半に少回哺乳区では訪問回数が再び増加した．1日当たり哺乳設定量に対して100％摂取した子牛の割合は，哺乳ロボットへの導入から4日間では多即南乳区が有意に高かった（P＜0.05）．生時体重および離乳時体重に有意な差はみられなかったが，雄雌ともに多回哺乳区の離乳時の体重が少回哺乳区にくらべ高い傾向を示した．以上より，哺乳ロポットを利用して人工哺乳を行う場合，哺乳機会を多く設定し，哺乳回数を増加させることは，哺乳ロボットへの導入後におけるドリンクステーションの利用性を向上させ，哺乳ロボットへの子牛の馴致を容易にするとともに，子牛の発育の改善も期待できることが示唆された．