子豚の群編成後短時間における末梢血コルチゾール，グルコースおよび遊離脂肪酸濃度と白血球数および好中球貪食能の変化

摘要

本実験は，子豚の群編成後短時間における神経－内分泌軸の活性化と白血球数および好中球の貪食能の変化を明らかにする目的で実施した．生後34日齢のLW x D種雌子豚，12頭（4頭／腹×3腹）を，新たな1豚房に移動させ編成した（編成子豚）．他の1腹6頭は移動せずにそれまでの豚房で飼育し，対照子豚とした．編成子豚間では編成後から8時間にわたって，激しい闘争がみられた．編成前15分（編成前），編成後45および180分に，血中のコルチゾール，グルコースと遊離脂肪酸（NEFA）濃度および白血球数を，また，編成後180分の好中球の酵母貪食能を測定した．試験期間中，対照子豚では，各測定値に有意な変化は認められなかった．しかし，編成子豚では，編成後45および180分における血中コルチゾール，グルコースおよびNEFA濃度が，編成前および対照子豚の値に比較して有意に高かった．また，編成子豚では，対照子豚に比較して，編成後45および180分における白血球数と好中球数は有意に増加していたが，リンパ球数と単球数は有意に減少し，また，編成後180分の好中球の酵母貪食能に有意な低下がみられた．これらの結果から，子豚を群編成すると短時間で，副腎の機能が賦活化されると同時に，機能性の低い好中球数の増加が起こることが明らかにされた．