曝気処理した乳牛由来液状きゅう肥のオーチャードグラスに対する肥料的効果

摘要

酪農場で生産された液状きゅう肥のオーチャードダラスに対する肥料的価値が，曝気処理によってどのようた影響を受けるかを明らかにするために，ポット試験を実施した．供試した液状きゅう肥ほ原材料が同じで，曝気期間の異なる3段階の処理をしたもので，これを各ポットに同量施用した．得られた結果ほ以下のとおりである．1）曝気期間が長いはど，液状きゅう肥の温度とpHが高まり，N含有率，とくに，NH_4－N含有率が減少した．このことは，液状きゅう肥の曝気処理がNH_4-Nの揮散損失を助長することを示唆している．液状きゅう肥のPおよびK含有率は，曝気処理によって大きな変化がなかった．2）液状きゅう肥施用後60日目におけるオーチャードグラスの刈取り部乾物重とそのN含有量の処理問差は，ともに無曝気区＞短期曝気区＞長期曝気区だった．3）このように曝気期間が長くなるほど肥効が劣ったのほ，曝気処理によって液状きゅう肥中のNのオーチャードグラスによる吸収利用率が低下したことに起因すると思われた．4）栽培後の土壌を4週間培養し，その無機態Nを定量した．その結果，処理間差は明瞭でなかった．それゆえ，本試験程度で曝気した液状きゅう肥を施用しても，栽培後の土壌中に残存する可給態Nを増加させることばなかった．以上の結果から，液状きゅう肥の曝気処理ほNH_4-Nを揮散させるため，オーチャードグラスに対する肥料的価値を低下させると考えられた．