和歌山県沿岸の養殖漁場における環境指標としての酸揮発性硫化物含量の有効性とその基準値の設定の試み

摘要

魚類養殖業における過密養殖や過剰な給餌ほ生箕周辺への有磯物負荷を増大させることとなり，その影響は生筆周辺に限られるものの工業排水や都市排水と同等の影響を底泥の動物相に与えることが明らかにされている。こうして引き起こされる漁場環境の悪化は，赤潮の発生や魚病の蔓延などにつながり魚類養殖そのものの生産性を損なうことになる。このような中，1999年に漁場の適正利用と魚病の予防、蔓延防止を図るため「持続的養殖生産確保法」が施行された。本法律に伴う基本方針では，溶存酸素量，硫化物量，底生生物及び疾病による養魚の累積死亡率を指標とする養殖漁場の改善目標が定められている。