諸外国における犬のブリーダ一規制状況

摘要

日本における犬の飼養頭数は， 近年減少傾向にあるものの，ぺッ トフ一ド協会の調査によれば，2015年10月現在992万頭となつ ている[1].犬の飼育者は799 万世帯であり，7世帯に1世帯が 犬を飼育している[1].これらの 飼育者及び潜在的飼育者に対して子犬を供給するために小規模なホビ一ブリーダーから大 規模ブリーダ一までさまざまなブリ一ダーにより子犬の 繁殖が行われ，供給されている.ブリーダーの中には利 益を優先するあまり，動物福祉を犠牲にした過酷な条件 下で繁殖を行っているものもある.このような状況を受けて，日本では2006年に動物愛護法が改正され，すべ ての動物取扱業が届出制から登録制に改正され，さら に，2013年の改正により，動物福祉を確保する観点か らブリーダーの責任や義務が強化された.しかし，その 結果，ブリーダーの数が大幅に減少した.ジャパン-ケ ネル.クラブ（JKC)の登録ブリーダーの数はピークの 2004年34,065人から2014年9,643人へとホビープリ一 ダーを中心に72%減少した.ホビープリ一ダ一の減少 のおもな原因は，登録手続きなどの煩雑化とされてい る.ブリーダーの減少に伴い.繁殖される子犬の頭数も 80万頭から50万頭へと約4割減少した[2].犬の飼養 頭数に占める1歳以下の子犬の割合は2015年10月現 在3.7%であり[1],犬の平均寿命を14歳として飼育 頭数の維持に必要な7%を大幅に下回っており，子犬の 供給が增えなければ飼養頭数のさらなる減少が予測され る.