麻布大学附属動物病院の現状と課題：この10年に歩hだ病院運営

摘要

大学附属動物病院は獣医学教育 にとつて不可欠な教育施設であり.また獣医臨床教育の要である ことが獣医関係者の揺るぎない認 識である.さて，本学の附属動物 病院（以下，本院）は,学校法人 麻布獣医学園創設者の與倉東隆が明治23年（1890年）に設立した東京獣医講習所（現-麻布大学）-家畜病院から今日まで連綿として続いてい る病院である.創設者與倉の教育理念である「学理の討 究と誠実なる実践」は今尚，継承され，本院は参加型臨 床実習の教育拠点として.地域の二次診療施設として， また臨床獣医師の卒後研修や生涯教育の研鑽の場として，高度な獣医療を地域に提供している.このような本 院に至った現状は特に，文部科学省に設置された「獣医 学教育の改善-充実に関する調査研究協力者会議」の報 告書（2009年3月）と農林水産省より発令された「獣 医学生の臨床実習における獣医師法第17条の適用につ いて」の通達（2010年6月）に端を発した動向に依る ところが大きい.その根拠として，本学獣医学科は，全 国大学獣医学関係代表者協議会に加盟する獣医学系大学 17大学の中で，（公財)大学基準協会によるわが国初の獣 医学教育評価を2017年に受審し，同協会の定める認 証を取得し.そして本院は評価対象施設として評価された.また同2017年，本学獣医学科は獣医系大学間獣医 学教育支援機構による獣医学共用試験のvetOSCE (Veterinary Objective structured Clinical Examination)を7月22曰に,またvetCBT (Veterinary Computer-Based Testing)を8月19日に実施して， 同年9月の後期授業から参加型臨床実習が本院で開始さ れたことで，本院の今は形付けられた.