自動ATP測定装置による 牛乳およびョーグルト中の大腸菌群迅速試験法

摘要

バイオルミネセンス法（ATP法）による牛乳および ヨーグルト中の大腸菌群迅速試験法について検討した. 選択増菌培養とATP相対発光量測定を組合せて検討し， 以下の知見を得た.1) 大腸菌群未接種のヨーグルト試料液をBGLBに添 加して培養したところ，培養液のATP相対発光量 が高値を示した.一方，dLSTやnBGLBに添加し た場合は乳酸菌由来ATPの影響を抑えることがで きた.このうちdLSTは調製が容易で.選択増菌 培地として最も適していた.2) dLSTによる8時間の選択增菌培養と自動ATP測 定を組合せたdLST-ATP法は牛乳1mL中および ヨーグルト0.1g中の1-10 cfu/mLの大腸菌群を検 出可能であった.3) dLST-ATP法による大腸菌群推定試験の包含性は 100.0%,排他性は90.396であつた.大腸菌群汚染試 料を用いて完全試験まで実施した場合のBGLB法 およびデソキシコ一レイト寒天培地法との一致率 は良好であった.以上の結果に加え，dLST-ATP法による推定試験で 判定を得るまでの時間は約8時間と迅速である.また， 自動ATP測定装置を利用するため簡便で，多検体処理 も可能である.さらに乳酸菌ATPの影響を排除できる ため牛乳だけでなくヨーグルトにも適用できることか ら，dLST-ATP法は牛乳およびヨーグルトの大腸菌群 迅速試験法として有用と考える.