全国の市販鶏肉および食鳥処理場で採取した鶏肉からのCampylobacter ieiuniヒC. co//の分離と薬剤耐性状況

摘要

カンピロバクタ一は日本における細菌性食中毒の主要 な原因菌であり，カンピロバクタ一症の患者数は日本全国で年間150万人にものぼると推定され，その公衆衛生 学的重要性は大きい9)と考えられている.厚生労働省 の食中毒統計資料では.平成27年の細菌性食中毒の中 でカンピロバクタ一食中毒が318事例で最も多く，原因 食品としては鶏料理が開与していることが多い（厚生労 働省.食中毒事件一覧速報.http://Avww.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/ syokuchu/04上tml(参照2016-06-20)).このため.内 閣府食品安全委員会では，鶏肉中のカンピロバクタ 一ジェジュ二/コリについてリスク評価が行われ，2009 年6月に評価書13)が出されている.またカンピロバク ターはキノ ロン系薬剤に対する耐性化が世界的に問題と なっており，国内の家畜衛生分野における耐性菌のモニ タリン；7体M (Japanese Veterinary Antimicrobial Resistance Monitoring; JVARM)においても，2011年にお けるブロイラー由来Campylobacter jejuniのシプロフロ キサシン耐性菌の割合が30%を超える状況にある6).国 内における鶏肉のカンピロバクタ一汚染状況や分離株の 薬剤耐性状況に関する報告2' 3'7' a12'14>は見られるもの の，依然としてカンピロバクターが細菌性食中毒の主要 菌であることを考慮すると.鶏肉の汚染状況や薬剤耐性 状況を把握し.リスク評価や対策を検討するためのデー タ蓄積が重要であり継続的な調査と解析が必要と考えら れる.