暑熱負荷と姿勢変化による脳の血液出納への影響

摘要

日常生活においても寝ている状態から起き上がると立ちくらみやふらつきを感じることがある。夏場 になると特にその症状が強くなり、座った状態から起き上がった途端に倒れたりすることがある。この ような立ちくらみは脳血流が十分に調節されていないことで起こる可能性がある。脳循環における血液出納は非常にユニークであり、脳へは内頸動脈（ICA)と椎骨動脈（VA)が血液を供給し、内外頸静脈 (JV)および椎骨静脈（W)から排出される。脳血流量調節には様々な要因が関与するが、姿勢変化 によっても影響される。ICA血流量は起立性ストレス時に負荷強度に伴って低下するが、VA血流量は ほとhど変化しなレヽ。JVはコラブスしやすく、起立性ストレス時にJV血流量は低下するが、W血流 量は増加することが報告されている。高体温時には換気亢進に伴う血中二酸化炭素ガス分圧の低下や， 末梢血管抵抗の低下によって血流再配分が変化することため、ICAおよびVA血流量は低下することが 報告されている力;、姿勢変化や静脈血流量調節が脳血流調節にどのように影響しているかは不明である。 本研究では、暑熱負荷での姿勢変化が脳への血流出納に関係する血管特性にどのように変化するのかを 明らかにすることを目的とした。