島根県奥出雲地方の鉱水長期投与によるマウスの血中脂質濃度と 血糖値への影響

摘要

地下水には様々な鉱物やガス、有機物が含まれ、飲料に適したものは飲料水として 販売されるものも増えている。それら鉱水の中には、健康によいと印象づける宣伝内容が見られる が、科学的根拠が明確か否か疑問を残すものも多い。本研究では、島根県奥出雲地方で採取される 鉱水飲料（仁多水）が血液中の脂質濃度と血糖値に与える影響について実験動物を用いて解析した。[方法と材料]実験には雄雌のマウス（Slc:ICR)を用いた。7週齢を搬入後、蒸留水飼育群（D) 群、水道水飼育（T)群、鉱水飼育（J)群に分け、1週間は通常飼料（PMI、 #5001)と蒸留水で、 その後、高脂肪飼料(HFD)(PMI、 60%動物性脂肪餌58Y1)で飼育した。マウス用個別換気ケージシス テム（オリエンタル技研工業）を用い、各群とも雌雄各々5匹/ケージで飼育した。HFD飼育開始後、 1週間毎に個体毎の体重、ケージ毎の飲水と餌の消費量を測定した。HFD飼育開始前と開始4週 目、8週目、12週目に約16時間絶食させた後、過量のジェチルエーテル吸入によりと殺、直後に 心臓から採血、血漿分離後、富士ドライケム（VP4000)で中性脂肪、総コレステロール、血糖を 測定した。飼育環境は、室温26~28°C、約12—12時間の明暗リズムであった。統計検定には繰り 返し測定の2-way ANOVA、 StudentVtを用いた（有意水準：両側5%)。実験は、ヘルシンキ宣 言に則り日本生理学会の定めた動物実験の指針に従い、本学動物委員会の承認を得て行われた。