乳牛経産牛の繁殖性から見た課題とその対応策について

摘要

過去10年間（2003から20に年）の乳牛経産 牛飼養頭数の推移（畜産統計：農水省）を見ると、 夏季に猛暑、酷暑となる都府県（北海道を除く） においては20万頭以上(27%減)この10年間で 減少し、生産基盤の極端な縮小化が進行している。 北海道においても、乳牛経産牛飼養頭数はこの 10年間で微減し、近年はさらにその減少が全国 的に加速している。その背景には種々の要因が考 えられるが、繁殖技術の視点から捉えると、乳牛 経産牛の発情微弱化、人工授精における初回授精 受胎率の低下、および夏季のヒートストレスの影 響による繁殖成績の極端な悪化や、生まれてから 搾乳開始までの育成コストが回収される前に、生 産寿命が尽きて不妊や廃用となるケース等の増加 が上げられ、これらの繁殖的課題の現状認識とそ の対応策となる胚移植（et)技術の活用等につ いて、本シンポジウムにおいて述べさせていただ く。