熱分解ガスクロマ卜グラフィ一による植物の 細胞壁構成成分を指標とした種判別法の検証

摘要

植物の分類、判別技術は，分類学分野だけではなく犯罪捜査にお いても重要である。しかしながら，サンブルが微量または乾燥している場合は，形態学的およびDNAによる調査は困難であるため，生物 学的または化学的成分による分類、判別技術が求められる。本研究 は，細胞壁構成成分の一つであるリグニンを検出する熱分解ガスク 口マトグラフィーを用いた，植物の分類、判別法を検討したもので ある。26種のイネ科植物1mgを分析したところ，サンプル量や組織 の違いに関係なく，種特異的なパイログラムを検出できた。また，パ イログラムにおける主要な30ピークを抽出することでクラスター解: 析が可能であり，5グループに分類できた。クラスターIは，Cynod on dactylon (L.) Pers., Pennisetum purpureum Schumach, Brachiaria decumbens Stapf.の3種で構成されていた。クラスター IIは2種のZc^sia属およびOryza sativa L.を含む15極で，クラス ターmは3種のPaspalum属を含む6種で構成されていた。クラス タ一IVはCenchrus ciliaris L.であり，クラスタ一VはAgrostis stloni-fela L.のみであつた。BLAST検索の一部を改変して稗判別Wソフトを作成し，その検証を供試した26種のパイログラムデニ夕と採集地 の異なる6稗:を用いて行つたところ，6種のうち4種が検索結果の楠 物種中に含まれ，類似植物として判別することができた。