高温登熟下のスプリンクラー散水による玄米外観品質低下の抑制効果

摘要

近年，世界的に気温が上昇傾向にあり，農産物の収量および品質の低下が懸念されてい る.水稲において，登熟期間に高温に晒されることにより収量および外観品質の低下が報 告されている.高温障害対策技術としては，高温登熟耐性の高い品種の改良，かけ流し灌 漑，作期の移動や適量な窒素追肥などが挙げられる.生産者数の減少や高齢化などの問題 も力[]わり，省コストかつ省力的な技術の開発やそのための知見が求められている.スプリンクラー散水は，出穂後の昼間（10時-17時）の散水が稲体温度を低下させ，収量と品質 の改善効果があることが報告されている（浅木ら2018).しかし，生産者が昼間に長時間 散水処理を行う場合に他の農作業との時間的な競合が起こる場合が多いと推察され，散水 時間短縮の可能性を検討する必要がある.本研究では，短時間のスプリンクラー散水が水 稲の収量および外観品質におよぼす影響を調査し，その有効性ついて検討した.