これからの農蓑土木

摘要

現代の農業土木は，明治政府が西欧の土地整理の技術と制度をわが国に導入し，以来わが国の国情に合わせながら耕地整理から土地改良へと拡充し整備しつつ，発展と体系化の道を今日まで歩hできた。 　 しかし，それ以前に，わが国の国土を日本人の生存基盤とするための先人たちの営みを忘れてはならない。水と土を治めることがいつの時代でも為政者にとっての最重要課題であったし，一般の人々の関心と苦労もそこに注がれることによって，生産も生活も，ひいては国土全体の道営も健全に営まれてきた。その営みは単なる農地や用水を対象にするに止まらず，有形無形の文化を伴う広大な領域に及hでいた。