山口県における溜池の現状と干ばつによる水稲生産への影響

摘要

山口県の降水量の比較的少ない山陽地方や大規模な河川の発達がみられない半島地域や島喚部では，潅漑用水の確保のため古くから溜池が築造され，全国第5位の溜池数12，482カ所を有しており，溜池，地下水，湧水に水田の潅漑用水を依存している。 1994年は西日本を中心に，梅雨期の少雨，7～8月にわたる連日の猛暑、少雨の異常気象が続き，山口県北西部に位置する油谷町の向津具半島では，潅漑用水が大幅に不足し，水田の土壌水分が低下して立枯れや白穂などの干害が発生した。 この地域における水稲の干害の発生は，溜池からの潅漑用水の有無が大きく影響していた。