水生動物の生息空間としての機能を支えるため池の環境特性

摘要

ため池は，農業用水源としての本来機能のほかこ多面的な機能を有しており，地域生態系を支える貴重な水域である。 しかし，減反や耕作放棄等の理由によりため池が廃止される事態も見られ，山間地域に位置するため池ではその傾向が強いと考えられる。 香川県の調査報告によれば，香川県内のため池個所数は1985年時点の16，304カ所から1999年時点の14，619カ所と約10％減少しており，廃止されたため池のうち約21％が山間地域に位置するため池である。 このような状況において, 山間地域のため池を生物生息の場として評価し，その機能を再認識することば, 山間地域におけるため池の整備を行う際の留意点を検討するうえで重要である。