トルコ農村部における社会慣習と女性労働に関する意識形成一アダナ県低平地地域を事例として一

摘要

現在，トルコ共和国はI,調に経済成長を続けている.その一方で，女性の社会進出はEU諸国などと比較し て遅れてレ、。(State Planning Organization of Turkey and World Bank, 2009).工業化に伴う都市部への人口移動 によつて女性の農業労働参加が減少したことや近代的 性分業に基づく主婦像の浸透に加え，中東イスラム圏 社会における「女性が身内以外の男性と接触すること を忌避する伝統的な性的名誉の規範」（村h, 2002)に 基づく女性隔離の慣習により都市部での女性の労働参 加先が限定されてきたことの影響が指摘されている (村h, 2002).農業以外の産業が限られている農村部 では，女性は敷地内での畜産の他，野菜や綿花などの 収穫作業への女性のみでの集団参加といった形で，強 く残る社会慣習と折り合いをつけ，労働参加してきた.