都市近郊における学校給食向け青果物の出荷労力の評価—東京都内における農家調査結果から一

摘要

学校給食において地場農産物を利用する効果 として，安全'安心な給食の提供，食育への活用， 地場農産物嗜好の喚起といったことが指摘されている（文部科学省，2013 ； Aftosmes, 2011； Chomitz et al., 2010).こうした中，内閣府による 第三次食育推進基本計画では，2020年（当初目 標は2010年，その後2015年まで延長の後，再延 長）までに，学校給食における地場産食材（同一 都道府県産）の使用品目割合を30%に高めるこ とが目標とされている.近年，学校給食において， 地場農林水産物（同一都道府県産）を使用する小 中学校は，国内の学校数の9割を超えており，7 割強の学校が恒常的に使用している（農畜産業振 興機構，2005).ただし，目標値である品目数に 占める割合でみると，地場産（学校が所在する都道府県内で生産、収穫、水揚げ）使用率は26.4% (2017年度文部科学省学校給食栄養報告）に留 まり，近年は停滞している.学校側からの課題と して，「量がそろわない」「種類が少ない」「規格 等が不揃い」といった項目への指摘が多いことが 示されている（農林水産省，2005).こうした中 で，生産者と学校との連絡調整や集出荷の支援， さらに出荷助成金等の施策を設けることが有効 とされている（藤田，2009 ；内藤，2005;山田. 野見山，2012;山田，2014 ；八木，2015).