食品中のカドミウム濃度に関するコーデックス新基準値への対応

摘要

牛海綿状脳症（BSE，狂牛病），不当表示，牛乳の詰め替え問題等わが国の農産物に対する国民の不信感が，かってないほど高まっている今日，安全な食料、食品を通して国民に安心を提供するという農業の基本理念に立ち返ることが肝要である。 食の安全性に関して，カドミウム，ダイオキシンなど有害化学物質のリスク評価には，耐容摂取量という摂取量の限界値が指標として使われるが，その僧は多くの仮定の下に算出されており，真の安全性を担保するものではないとの批判も多い。現在，コーデックス委員会（FAO／WHO合同食品規格委員会）で食品中のカドミウム濃度に対して，わが国現行基準偶の数分の1という厳しい基準値案が討議されている。 この新基準億案はデンマークが提唱する耐容摂取量に基づき算出されたもので，欧米諸国では，より厳しい基準値を望む声も多い。 このような状況を考えて，農作物中，特にわが国の主食である未申のカドミウム濃度を可能な限り下げ，国民の農産物に対する信頼を取り戻すことが急務である。今こそ，わが国のカドミウム研究者が総力を挙げて，農作物中のカドミウム含量を軽減する実用的な技術を開発することが要求されている。