問われる協同組合の理念と事業目的 ——非営利規定の削除をめぐって

摘要

政府主導の「農協改革」に即した今般の農協法改正により、農協および協同組合の理念と事業目的が改変され、協同組合の基本的なあり方が危機にさらされている。その農協法の改正理由は次のように謳われた。「最近における農業をめぐる諸情勢の変化等に対応して、農業の成長産業化を図るため、農業協同組合等についてその目的の明確化、事業の執行体制の強化、株式会社等への組織変更を可能とする規定の整備、農業協同組合中央会の廃止等の措置を講ずるとともに、農業委員会の委員の選任方法の公選制から市町村長による任命制への移行、農業生産法人に係る要件の緩和等の措置を講ずる必要がある」と。すなわち農協法、農業委員会法および農地法にかかわる大改正である。農協法については農協の理念や事業目的を大きく転換させ、農協の株式会社化を可能にするといつた戦後改革以来のきわめて重大な改正である。