大規模生産者はとう動くのか:モデル農村としての秋田県大潟村の苦慮

摘要

アベノミクス第三の矢「民間投資を喚起する成長戦略」の中で「成長産業」と位置づけられた農業に関する一連の政策転換は、わが国農業のモデル農村と位置づけられた秋田県大潟村にも、多大な影響を及ぼすこととなるであろう。若手生産者たちは昨年末の米生産にかかわる政策転換を受けて、「1俵1万円への対応を、5年以内におこなわなければならない」と考えていたが、今年の「秋田県産あきたこまち60キレラあたり仮渡し金85000円」を受け、大きな不安に陥っている。水稲生産が中心の大潟村においては、6次産業化へのとりくみは一部で見られるものの、太宗を占める家族経営においては生産活動が中心であり、水稲作の規漠拡大か園芸部門等を取り入れる複合化のいずれかが採用できる選択肢だが、そのいずれも容易に展開できる条件はない。今回の政策転換を踏まえ、マスコミ等が大潟村農業の展望を取材しているが、行政の担当部署も対応に苦慮している。*そこで本稿では、大規模稲作のモデル農村と位置づけられてきた大潟村農業の課題を明らかにし、政策にどう対応する方向が検討されているのかについて報告する。